「モンスター社員」と呼ばれる人たちがいます。
彼等は極めて主張が強く、まともとはいえない主張や言動で周囲を振り回すのが特徴。
さらに自分に都合のよい法的な権威を好んで振りかざすため、企業としても対応に頭を悩ませていることも少なくありません・・・。
しかし、彼らの影響をもっとも受けるのは実は現場のスタッフなんです。
業務の遂行を妨げられることはもちろん、場合によっては退職に追い込まれるほど深刻なダメージを与えることもあります。
もしあなたの職場にモンスター社員がいたのだとしたら・・・ある日突然、あなたが何らかのトラブルに巻き込まれる可能性は少なくないのです。
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モンスター社員の6つのタイプを知ろう

ひとえに「モンスター社員」といっても、いくつかのタイプがあります。
明らかな攻撃性を示してくるタイプもあれば、いっけん穏やかそうではありつつも水面下で暗躍するタイプもいるので注意が必要。
私がいままで見てきたモンスター社員は、この6つのタイプに分かれます。
① パワハラタイプ
② メンタル不調タイプ
③ 家族介入タイプ
④ 自己評価MAXタイプ
⑤ スピーカータイプ
⑥ 沈黙タイプ
それぞれどういう特徴をもっているのか、順に見ていきましょう。
① パワハラタイプ

モンスター社員といえばまず浮かぶのがこのタイプでしょう。
自分が気に入らないことがあれば部下や後輩を攻撃します。
また、(こいつは反撃してこないな)と分かると、上司にすら攻撃をいといません。
必ずしも暴言を吐くわけではないのですが、自分の納得がいかないことがあれば怒気を含めて猛反発するため、関わった人間は少なからずダメージを受けてしまいます。
② メンタル不調タイプ

パワハラタイプと違い、こちらは「自分が受けたダメージをアピール」するタイプです。
特にメンタル系の疾患である「うつ病」などを盾に、業務指示に従わなかったり極端に勤怠が悪かったりします。
しかし一見弱々しいながらも、自分の主張についてはガンとして譲らない強かさも備えています。
また、被害妄想の性質もあるため、ちょっとしたコミュニケーションで「ハラスメントを受けた」などと騒ぎたてることもあり、かなり厄介なタイプです。
③ 家族介入タイプ

本人ではなく、本人の家族が介入してくるタイプです。
何か意に沿わないことがあれば、会社に電話をしてきて猛抗議してくる、いわば「モンスターペアレンツ」のビジネス版。
また、自分の身内が勤務していることをいいことに、身勝手な要求を通そうとするクレーマーに転じることもあります。
当の本人は至って普通なため、採用段階で見抜くことが不可能なモンスター社員です。
④ 命令無視タイプ

命令無視タイプのモンスター社員は、自分に絶大な自信をもっています。
それがゆえに待遇に不満を持っていたり、上司を格下とみなすと、命令を無視して独断で動きます。
「裏番長」みたいな呼称が大好きで、そこそこ実力もあることから上司も手を焼くタイプです。
会社に不満はもちつつも、実は会社のことが大好きという矛盾を抱えているので、なかなか退職をすることはありません。
⑤ 権利主張タイプ

常に権利を主張してくるタイプのモンスター社員がこれ。
どんなに忙しい中でも自分はきっちり有休を取るタイプで、やたら労基へのかけこみをちらつかせる傾向があります。
労働規約で納得いかない点があればそこを逆手に上司に攻撃をしかけてきます。
とにかく自分の利益確保のためにはあらゆるものを利用するタイプで、スタンスは「周囲の従業員の代弁者」。
訴訟などもちらつかせるため、人事担当の手をもっとも煩わせるタイプがこれです。
⑥ 沈黙タイプ

沈黙タイプは逆にコミュニティに属するようなことはなく、独立独歩のスタンスです。
それはよいのですが、業務指示について「反応をせずに従わない」ことが特徴です。
何かを頼んでも「はい」と返事はするものの、本人は「やるともやらないとも言っていない」というスタンスなのですね。
何を考えているのか腹の中をさらすことはないため、非常に不気味な存在です。
大事なタスクをほったらかしにし、それが発覚した時は本人は連休中…というのは非常によくあるパターンで、周りの人間をかなり困らせます。
モンスター社員が生まれる背景
人事も手を焼くモンスター社員は、なぜ生まれるのでしょうか?
その背景は3つほどあり、どれに属するかで、「誰がもっとも被害を受けやすいか」が見えてきます。
① 本質的に性格が歪んでいる
② 特定上司への憎しみ
③ 会社への憎しみ
①本質的に性格が歪んでいる
もっとも警戒が必要なのが、「本質的に性格が歪んでいる」パターンです。
「反社会性パーソナリティ障害」の傾向をもっているため、指導などのアプローチで強制することは困難を極めます。
また、快活に演じることが得意なので第一印象はよく、面接の時にその悪意を見抜くことは困難です。
会社の不利なところを暴くことが大好きなので、SNSによるリスクも非常に高いと考えられます。
「反社会性パーソナリティ障害」とは・・・
社会的規範や他者の権利・感情を軽視し、人に対して不誠実で、欺瞞に満ちた言動を行い、暴力を伴いやすい傾向があるパーソナリティ障害である
(Wikipedia)
② 特定上司への憎しみ
特定上司への憎しみから、モンスター社員に転じることがあります。
いわば「後天性モンスター社員」ですが、モンスター社員になるきっかけとしてこのようなものが考えられます
・何気なく言われた言葉で深いキズを追った
・窮地の時に助けてくれなかった
・誤解
特定の上司から歩み寄ってきても、完全に心を閉ざしているため和解は困難です。
ただし「あんな上司にはなりたくない」という思いが強いため、後輩への面倒見の良さはよく、きっかけさえあればよい管理者に育つ可能性もあります。
③ 会社への憎しみ
こちらは「特定上司の憎しみ」がさらに拡大・進化したバージョンのモンスター社員です。
もはや個人への恨みではなく「会社へ恨み」です。
その背景としてこのような物が考えられます。
・努力しても会社が報いてくれない
・ずっと利用され続けたとの逆恨み
・嫌いな上司が出世したことへの怒り
同僚が会社を辞めたり、手を抜くように仕向けるのが大好きです。
「だったらあなたが会社を辞めたらいいのに」とも思うのですが、自分自身の身の振り先がないこともよく理解しているため「離れたいけど離れられない」という自己矛盾を抱えている存在です。
上司のみならず、同僚としても深入りはさけたほうが無難なモンスター社員です。
モンスター社員の対応はどうすればよいのか

もしあなたがモンスター社員の被害にあっている時はどうすればよいのでしょうか?
相談先として考えられるのは以下の4つです。
①上司
②人事部・コンプライアンス窓口
③労働局
④弁護士
基本的には社内の相談で完結したいところですが、なかなかそれでは解決に向かわないことも少なくありません。
モンスター社員の行動は「証拠材料」として集めづらいものが多い上、「従業員としての権利」を振りかざして抵抗してくるため対応がとても難しいからです。
とはいえ労働局への相談や弁護士への相談はハードルも高いため、「それをやるぐらいなら我慢する」というケースも多いと考えられます。
今回、モンスター社員にいかに会社組織が翻弄されるかの事例をご紹介しますので、ぜひお読みください。
【実例】モンスター社員で職場崩壊!野放しにし続けた末の結末

勤務していた事業所は少人数ながらもアットホームな雰囲気で、「いい会社に入れたなぁ」と日々充実感を感じていました。
しかし、突然入社してきたある人物のせいで、幸せだった職場はまたたくまに地獄のようになってしまったのです…。
「事務所の模様替えをしましょう」出社初日から奇妙な言動
ある日のことです。
朝礼に見慣れない男性が加わっていました。
課長は彼を自分の元に呼び、「別の警備会社から来た主任のDさんだ。みんな仲良くやってくれ」と紹介しました。
今考えると、彼の言動は初日から常軌を逸してました。
彼は「よろしくお願いします。」と手短に挨拶を済ませたあと、職場をぐるっと見回し、「今から部屋の模様替えをしましょう」と、言い出したのです。
(いきなり来て変わったこと言う人だな)とは思いましたが、その場にいたものは誰もレイアウトにこだわりがなかったので、言われるがままに模様替えを行いました。
従業員の予定をかき回し、契約内容の変更も改ざん!
翌日から、Dさんは好き放題にやり始めました。
自分の都合にあわせて従業員の直近のシフトを変えたりするのは当たり前。
はては取引先との契約内容に勝手に手を加えたりと、常識では考えられないことばかり行いました。
流石に目に余る行為だっただけに、直属の上司である課長も度々注意したようですが、当人は全く聞く耳をもちません。
特にDさんの被害を被ったのは私と後輩で、連日ワガママに振り回され、尻拭いに奔走させられました。
取引先や現場の警備員さんに、何度頭を下げたか覚えていません。
我慢の限界!直接問いただすと耳を疑う言葉が!
とうとう我慢できなくなった私と後輩は、Dさんに直接これまでの勝手な振る舞いの真意を問い正してみました。
すると、Dさんの口から、信じられない言葉が返ってきたのです。
「俺は俺の考えを通すために仕事をやっている。自分の実績を作ることにしか興味がない。どう思われても絶対に成功して独立してやる」
呆れる私と後輩に、Dさんはたたみかけるようにいいました。
「お前ら年下のくせに生意気なことを言いやがって。覚悟しとけよ」
常軌を逸した壮絶な嫌がらせが始まる!
それから、Dさんからのあからさまなパワハラが始まりました。
内容はざっとこんな感じです。
・内容的に無理な仕事を強引に押し付ける
・些細なミスを大声で人前で罵倒する
・人格否定の言葉浴びせは日常茶飯事
・休日も適当な理由をつけて呼び出し、深夜まで仕事を行わせる
どれも常軌を逸したものでした。
課長にも相談したのですが、すでに制御権を失っている彼に手の打ちようなどありません。
事務所は暴走したDさんが実質的に支配している状態になりました。
とうとう最悪の事態に!ようやく会社が重い腰を上げるが…
しかし、とうとう我々でもカバーできないトラブルが発生しました。
Dさんによる致命的なミスのせいで、取引先を複数社巻き込んだ、とんでもない混乱状態になったのです。
Dさんは必至に私と後輩のせいにしようとしていましたが、流石に私と後輩もそれを認めることは出来ません。
「Dさんが全部なさったことですから、ご自身で責任をとってください」と反論したところ、「なんだと貴様!」とDさんはもの凄い癇癪をおこして、後輩を蹴り飛ばしたのです。
とうとう最悪の事態が起こってしまいました。
幸い後輩は大怪我にはいたらなかったものの、この件を社長に直接報告し、刑事告訴することも考えていると伝えました。
ここまで来てようやく会社も重い腰をあげ動き出しました。
本社の人間とDさんが何度か話し合いをした後、Dさんの自主退職でこの一件はあっけなく幕引き。
しかし、私もこの一連の出来事で会社のことが全く信じられなくなり、退職を願い出ました。
あなたは大丈夫?となりのモンスター社員

もしあなたの職場にモンスター社員がいた場合、あなたの就労が脅かされるリスクは少なからず存在し続けることになります。
なぜなら、いつなんときモンスター社員の攻撃の矛先があなたに向くかわからないからです。
当人が知らないところで、モンスター社員による風評被害にあっていたというケースも少なくありません。
Dさんの体験談で私たちが学べることは1つ。
それは、
いざというときに会社側の対応は当てにならない
という事実です。
Dさんの体験談では「刑事告訴」という段階になって初めて、会社側もようやく重たい腰を上げました。
しかし、ここまでのレベルに至る前に、メンタル不全で離職するケースのほうが多いのではないのでしょうか。
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まとめ 非常時こそ会社の本質を見抜くチャンス
非常に厄介な存在のモンスター社員ですが、会社や上司がどう対応するかで真価を図ることもできますね。
あなたが不快・不安な思いをしているのに、見てみぬフリをする環境なら、あなたが一生をかけて従事する価値はおそらくないのではないかと思います。
とはいえ、コンプライアンス機関が設立されている企業においても、モンスター社員の対応は難しいのが現実です。
パワハラ対策にも通じますが、決して他人事と思わず、先んじて最悪の事態への布石をうっておくことが賢い選択といえるでしょう。



