「あなたが辞めたらみんなはどうなるの?」
「もし辞めたら損害賠償を請求するからな!」
もしあなたが退職を申し出た時、こういうことを言われたらどうしますか?
実はこのような強引な慰留は「在職強要」呼ばれ、密かな問題となっています。
今回の記事はこのような方におすすめです。
職場を辞めたいけど、怖くて言い出せない
辞めたいと申し出をしたら、強引な慰留をされて困っている
辞めたいと申し出た後から上司の態度が豹変して参っている
どうやらブラックな環境は、抜け出すことも容易ではないようです。
Contents
「あなたを辞めさせない」ためのフレーズを知ろう

何らかの理由であなたが退職を申し出たとき、よほどのことがない限り「考え直してみたら?」と提案型で言ってくれるものです。
この場合、善意で言ってくれているケースもあるため、言われたほうも「圧」を感じることはありません。
しかし、言われたあとにモヤモヤが残るものは、「在職強要」といっても差し支えないケースがほとんどです。
代表的なパターンを3つほど見てみましょう。
パターン① こんな大変な時に辞めるなんてとんでもない!
多くの場合、誰であろうとも人が抜けるのは痛手です。
しかし、一人あたりの業務比重が高いブラック職場であるほど、「こんなタイミングに辞めるなんて!」という風に、あなたを非常識な人間のように言ってくるものです。
しかし「忙しくて人が足りない」というのはあなたの責任ではなく、職場の問題です。
職場に残るあなたの同僚のことを考えると後ろ髪引かれる思いもあるでしょうが、あなた自身の未来を犠牲にする義理はない、と割り切るべきです。
パターン②悪いところがあるなら改善するか残ってくれ
一見、あなたに有利な条件提示にも思えるため、悩ましいのがこの慰留パターンです。
もちろん向こうが提示してくる条件(賃金アップや問題スタッフの異動など)を提示してくれば考える価値もないわけではありません。
しかし、そもそも悪いところがあるならスタッフに指摘する前に改善すべきです。
まるで別れ話の段階になって初めて「悪いところがあったら直すから!」とすがりついている恋人のような状況であり、信頼性は非常に乏しいといえるでしょう。
もしこの条件提示を飲むなら、書面や雇用契約書の書き換えなど、根拠となるものを要求しましょう。
パターン③あなたみたいな人間、他では雇ってくれない
これは完全に「モラハラ・パワハラ」の類です。
ここまで露骨ではないにせよ、「ここまであなたを育てたのに・・・」などと、言ってくるのも同じで、あなたの個人を尊重しているとはまるで思えないフレーズです。
このフレーズが出てきた時点で、その職場には見切りをつけるべきと考えましょう。
「ふざけるな!」と感情的に返したくもなりますが、「それも覚悟の上です」と、相手の指摘を肯定した上で退職手続きを要求するのが有効です。
「辞めさない」という選択は本来はNG

辞めようとする場合、非常に悩ましいのが会社で定められた「就業規則」です。
就業規則によっては「退職する場合は●ヶ月前に申し出ること」などと定めている会社もすくなくありません。
しかし、そのようなスピード間では、次の仕事にスムーズにうつることなど不可能。転職先の面接をして受かった後に「半年後からはたらきます」なんてありえないのです。
そもそも労働者が仕事を選ぶ自由は民法で定められているので、「辞めさせない」という選択肢は雇用側にはありえません。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。
もし就業規約がなにがしか成約を設けたとしても、原理原則、民法がそれに勝ります。
さすがに退職願いを出して翌日から出社しない、というのは明らかに迷惑がかかりますので、民法で定められている「2週間前」であれば最低限の筋は通していると考えて大丈夫です。
実際に私も慰留する立場で数多くの退職をみてきましたが、就業規則で定められた期間より短い退職でも、裁判はおろかペナルティを与えた例は見たことがありません。
【Dさんの体験談】辞めさせてもらえないブラック職場
今回ご紹介するのは「心理的な弱点」をついて辞めさせないタイプの在職強要の実例です。
看護助手のDさんは医療の現場で過重労働に耐えていましたが、病院の中のヒエラルキーに嫌気がさして退職を申しでたところ、あ然とするような対応をされてしまうのでした。
2時間で40人の患者さんのケア!過酷な介助業務
私は20代の時、地元の病院に看護助手として就職しました。
日々の業務の中で最もハードなのは、なんといっても患者さんの介助業務です。
<看護助手の仕事>
・簡単な事務の補助業務
・病院内の備品、器具のチェック
・伝票やカルテなど病院内での運搬
・病院内のベッドシーツの交換や清掃、環境整備
・介助業務(食事、排泄、おむつ交換、検査の付き添いなど)
・手術室の器材などの清掃(消毒・管理)
引用:ベネッセMCM
私の勤務していた病院では、看護助手1人に対し40人もの患者さんが割り当てられており、わずか2時間の間に、全員のオムツ交換から食事介助までこなさねばなりません。
わずかでも時間を超過すると、看護師から「看護助手のくせに」と罵倒されるので、みんな制限時間内に終えることだけを目的にしているのでした。
上長の罵倒についに我慢の限界!退職を申し出るが…
過酷な労働もさることながら、一番堪えるのは看護師たちの高圧的な態度です。
ある時、看護部長から些細なミスを執拗に責め立てられ、我慢できずにいいました。
「もう退職したいです。」
それを聞いた看護部長は、(そらはじまった)とばかりに短いため息をつき、こう続けました。
「あなたが辞めた後、患者さんはどうなるのかしらね。」
私は、担当している患者さんたちのことを想像し、つい黙り込んでしまいました・・・。
「心のない人」と言葉のナイフを刺され、辞められない!
退職願いは一旦取り下げて、「また頑張ろう」と思い直したものの、日に日に仕事が辛いものになってきました。
それが体にも不調として現れ始めたこともあり、あらためて看護部長に退職届を提出したところ、
「やめられるわけないでしょ!あなた本当に心のない人なのね。」
と言われ、なんと退職届を突き返されてしまったのです!
そこで看護部長では話にならないと考え、今度は事務局長に退職届を提出しにいきました。
機械のように心を封じて、やっと退職届けを受理させることに成功!
翌日のことです。私が呼び出された談話室には、事務局長とあの看護部長の二人が、氷の表情を浮かべて座っていました。
看護部長「あなたに見捨てられた患者さんが本当にかわいそうで…。」
事務局長「よく考えなさい。君みたいな甘い考えの人間が、他でやっていけるのかを。」
これにはさすがの私もブチ切れました。
せめてねぎらいの一言でもあれば、考えを変えることだってあったかもしれないのに・・・
私は機械のように「辞めます」と繰り返し続け、ようやく退職願いを受理させました。
その後私は別の病院に再就職したのですが、「いままでの苦しみは何だったのか」と思うほどスタッフが手をとりあい、患者さんとのコミュニケーションを励みに頑張ることが出来ています。
まとめ 在職強要に一番効くフレーズは「●●」!

Dさんの体験は、在職強要の集大成といっても過言ではありません。
大事なのは「何を言われても決意は変わらない」という意思表明であることがおわかりいただけたと思います。
世の中には「退職代行サービス」というのもありますが、費用がかかる(相場は3万円~5万円)上に、やることは電話での連絡と貸与品の配送ぐらいのものなので利用はおすすめできません。
ここであなたにとっておきのテクニックを伝授します。
退職を申し出るときに「ある退職理由」を言うと、かなりの確率であなたのことを諦めさせることができます。
それは、「次の仕事が決まったので辞めます」です。
この理由だと慰留できるスキがほぼありません。また、妨害をしようものなら法的にも不利な立場になってしまいます。
本気で辞めるなら、次の仕事を決めた状態がベストです。もしまだ仕事のアテがないというのであれば、いますぐ転職エージェントに登録し、仕事探しから始めましょう。

もし辞める理由において「次の仕事のアテ」がなければ、慰留される弱みを相手に与えることにもなります。
最悪「現在転職エージェントで担当と仕事を探している」という理由でも構いません。
もちろん転職エージェントに登録したからといって、かならずそこで仕事を決めないといけないわけでもありませんので、今すぐ無料登録だけでもしておきましょう。
あなたが本当に力をいれるべきは「退職」ではなく、新しい職場でいかに戦力になれるかです。
退職の自由すら侵害してくるブラック企業には、サクッと見切りをつけていきましょう!
