「人事異動」は転職に匹敵するぐらいの大きなイベントです。
望んだ異動先で働くことができれば万々歳なのですが、そういったことは稀。
実際のところは退職した人の穴埋めであったり、会社都合での配置転換がほとんどなので、白羽の矢がたった人はほぼ苦労することになります。
私も経験があるのですが、どう考えても自分に適性のない業務内容だととても辛いものです。
今回、異動先で苦労をした実例を踏まえ、どのような対策があるのかをいっしょに考えていきましょう。
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【Eさんの体験談】研究職から営業職に異動命令が出たら大変な部署だった

人事異動で一番大変なパターンのひとつ、「畑違い」の異動についてご紹介します。
今回体験談を寄せてくださったEさんは、研究職であったにも関わらず営業職に配置転換をされました。
過去に営業職の経験がないEさんは、体育会系のノリの新しい部署で大変な苦労をさせられるのでした。
研究職から営業職への異動命令
私が前職で勤めていた企業は外資系企業です。
理系の大学出身であったこともあり、研究職として勤務していました。
しかし、ある時突然「営業職が足りない」と言われ、営業部に配属となったのです。
過去に営業経験のまったくない私が選ばれた理由は、現在の部署(研究職)で一番若かったからでした。
そんな前提条件ですから、「未経験だから1年ぐらいは多めにみてくれるだろう」となんとなく考えていました。
しかし、これがとんでもない誤算だったのです。
未経験だから仕事ができない!しかし容赦ない上司の圧力

外資系という事もあるせいか、営業部では「即戦力・即実績」を求められました。
未経験でも「待ったなし」です。
さらに絵に描いたような体育会系な部署であり、成果を出せない私に対し、上司の言葉は毎日辛辣なものでした。
「このままだとクビだぞ」
「売り上げを達成するまでは帰ってくるな!」
「来月は給料払わないぞ!」
営業経験がない私は、セールストーク以前に初対面の顧客と向き合うことすらままなりません。
さらに土日は休みにも関わらず、平日溜まった事務処理をするために出勤をするという日々が続きました。
ある日自分の席に知らない人間が!そして・・・
異動して1年ほどたったある日のことです。
外回りを終えて帰ってきたところ、私の席に見知らぬ人間が座っていました。
(そこは私の席なのですが)と声をかけようとしたところ、上司が現れていいました。
「彼は、お前の代わりに採用をした新人だ」
それを聞いた私は、(やっと以前の研究所に戻れるのか・・・)と思っていました。
しかし、その後の上司の言葉に耳を疑いました。
「お前は来週から北海道の物流センターへ異動だ。」
あっけに取られる私に、上司は口元をゆがめて続けました。
「それが嫌なら、辞めろ」
心身ともに限界を超えた私は、翌日、退職願いを出しました…。
「人員の穴埋め」目的の異動ほどギャップに苦しめられる
Eさんの体験談、いかがだったでしょうか。
個人のキャリアアップを考慮しての異動ではなく、「人員の穴埋め」が目的の異動ほど、このようなギャップは生まれやすくなります。
当人はたまったものではありませんよね。
本来なら、受け入れ側が異動してきた人間のキャリアを考慮し、しっかりトレーニング体制を構築すべき。
しかし、マニュアルやロールプレイなどが存在せず、「仕事は現場で覚えろ」というような部署は案外多いものです。
万一あなたがそういう事態におちいったときに、とるべき方法について考えていきましょう。
異動後に「思うように仕事が出来ない・・・」と思ったらとるべき5つの方法
この問題、実は解決するためのハードルが結構高いです。
その理由は、「業務を習得しよう」というあなたの努力はもちろんですが、受け入れ側でも相応の工夫や努力しなければいけないからです。
とはいえ、「業務に慣れない…」と1人で悩んでいるだけでは何も進みません。
マインドセットも含め、5つの解決方法についてご紹介します。
①トレーニング体制を敷いてもらう

あなたの過去の経験の有無を問わず、異動先でのトレーニングは必要です。
例えば営業職において「夕方まで、顧客のドアを1件ずつ叩いて来い!」なんてのはナンセンス。
トークマニュアルを落とし込んだ上でロールプレイを行い、さらに先輩社員同伴で外回りというのが一般的なトレーニング体制です。
いくら「忙しくて教える人がいない」といっても、あなたが短期間で効率的に成果を出すためには必要な投資。
もし異動先で実務が率先しているようであれば、上司のトレーニングやOJTを申し出るようにしましょう。
OJT(On-the-Job Training、オン・ザ・ジョブ・トレーニング)
職場で実務をさせることで行う従業員の職業教育のこと。 企業内で行われるトレーニング手法、企業内教育手法の一種である。
②自信のないことや不安であることを伝える
異動先で感じるストレスは業務内容だけでなく、慣れない人間関係など多岐にわたります。
故に、受け入れ側はあらゆる面であなたに配慮する義務があるのです。
ただし、あなたもそれなりに頑張っているため、傍からみてると「彼は特に問題はなさそうだな」と思われていることも案外多いです。
なので、不安に感じていることはあなたのほうから発信していかないと、どんどんコミュニケーションギャップが生まれていくことにもなりかねません。
「自分は不安を抱えている」「周囲の期待が辛い」等、ネガティブに感じていることは積極的に上長に相談しましょう。
そうすることで、トレーニング体制を考えてくれたり、業績の目標見直すなどの配慮をしてくれる可能性は十分考えられますよ。
③自分自身を責めずにちゃんといたわる

思ったように事が運ばないと「なんで自分は出来ないんだ…」と思ってしまいがちです。
しかし異動して1人前になるまで、最低でも1年から2年は見ておくべきです。
出来ないことが多くて当然、成果が出なくて当然。
このような割り切りがないと、どんどん自分を責める理由だけ増えていきますよ。
焦る気持ちもわかりますが、絶対に自分で自分を責める思考にはならないようにしましょう。
休みの日も残務消化のための出社なんてせず、きちんとリフレッシュすることが大事です。
④配置替えの相談をする
①から③までの選択肢が難しかった場合、配置換え、つまり異動の相談をすることになります。
元の部署に戻るということはなかなか難しいとは思いますが、もしあなたが今の部署で限界を感じているならば、このまま継続することは双方にとってメリットは少ないはずです。
「ネガティブな理由で異動になったら評価が下がるかも…」と不安に思うかもしれません。
たしかにその可能性はゼロではありませんが、だからといって「成果も出ないし辛い」という状態が続いてしまうと、あなたの心身に悪影響がでるリスクが高いです。
「異動が難しかったら退職を考える」というような駆け引きもアリです。
ただし、異動直後に「元の部署に戻りたい」と打診しても、まずマトモに受けあってもらえることはありません。
すくなくとも数ヶ月は業務を遂行する必要があります。そこでオススメなのが次の手法との併用です。
⑤逃げ道を確保しておく

かつてナチス収容所に囚われていたヴィクトール・E・フランクルは、「希望」こそ何より重要と問いています。

ナチス?!ここまで大げさに捉える必要はないんじゃ・・・?と思うかもしれませんが、仕事に追い詰められて自ら命を断つ人も少なくありません。
絶望的な環境に自らしがみつかざるを得ない状況は、大げさではなく監獄と同じです。
そこでオススメなのが、転職サイトに登録(無料)だけしておくことです。
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不思議なもので、転職サイトに登録をしておくだけでも安心感が得られますよ。
「いざ困った時に登録すればいいや」というマインドセットでは遅すぎます。
本当に追い詰められてしまうと、転職サイトへの登録ではなく、心療内科の検索のほうが必要になるからです。
まだ余力がある今のうちに登録しておき、「ちょっとこの仕事キツいな・・・」と思った時に、すぐに仕事を探すアクションをとれるようにしておきましょう。
災害時の避難経路を、平常時にあらかじめ確認しておくのと同じですね。
まとめ:異動は成長のチャンスであり、耐え続ける試練ではありません

どんな意図の人事であったにせよ、異動そのものは悪いことではありません。
なぜなら異動をすることでスキルアップできますし、人としても大きく成長できるチャンスでもあるからです。
しかし、耐え続けることにも限度があることや、あなた自身が壊れてしまっては元も子もないこは絶対に覚えておいてくださいね。
異動は、異動してくる本人だけでなく、受け入れる側の努力も必要な一大イベントなのです。
もし早い段階で「この部署、ちょっとヤバイかも」とか「この業務、いくら時間をかけても自分に適性があると思えない」と感じた場合は転職サイトへの登録」がオススメです。
いざというときの脱出口があると考えるだけでも、随分違うものですよ。
くれぐれも仕事で自分で自分を追い詰めず、「ヤバそうになったら脱出する」というマインドセットをもつようにしましょう!
メンタルさえやられなければ、いくらでも仕事は探せるのですからね。


